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私のためだけのノート

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朝日新聞デジタルの記事

前回は、ロシアの文豪ドストエフスキーの研究者の斎須直人(さいすなおひと)さんに、ロシアの暮らしや文学から見える西欧との違いについて聞きました。今回は、ロシア人という民族に対するヘイトについて、また、文化研究者の役割について考えを聞きました。

(【連載】知るロシア/ウクライナ 私が見たその姿
侵攻したロシア。領土奪還を目指すウクライナ。1年半がたっても戦争終結への道筋が見えないなか、両国の国民や文化、芸術と長年関わってきた人たちは何を考えるのか。それぞれの角度から語ってもらいます。)

――ヘイトに近づかないようにするためには、どうすればよいのでしょうか。

 「議論や意見表明の場で、自分が指したい対象の範囲を具体的に示し続けることが重要ではないでしょうか。例えば、『ロシア』ではなく『プーチン政権』と言ったり記したりする、などです。『ウクライナ国民』や『ロシア国民』、『民族としてのロシア人』や『民族としてのウクライナ人』などを明確に区別せず、その両方を『ウクライナ人』『ロシア人』と言って、混同している例も見ました。これでは、ウクライナとロシアに住む人々の置かれている複雑な現状を、正しく理解することはできないでしょう」

 「ロシアの侵攻後、世界の言論空間で、ウクライナとロシアのナラティブ(物語)がせめぎ合い、『戦争』が起きている、という認識を持っている人は少なくないと思います。ロシア政府が偽情報を含む露骨なプロパガンダを行っている以上、それに対抗すべきだと考えるのは自然でしょう。しかし、なんのジレンマを感じることなく『ナラティブ合戦』に参戦するのは、危ういとも感じます」

「一面的な理解」 なぜ起きるのか
 ――普通の人びとの考え方を知り、その多様性に触れるには、どうすればよいでしょうか。

 「戦争が始まって以降、ひとりひとりの多様性に目を向けるよう促してきたのが、文化研究者だと感じます。ロシアの侵攻を受けて彼らが行っている情報発信には特徴があります。それは、国同士の対立や『二分法』では割り切れない、一般の人びとや文化の多様な立場、少数者などに目を向けている点です。ロシアの芸術や文化を扱う電子ジャーナル『チェマダン』の、昨年5月に出された特別号『ウクライナ侵攻とロシアの現在』は、その一例です(https://chemodan.jp/chemodan_sp_2022.pdf別ウインドウで開きます)。早稲田大学の八木君人准教授は、コンサートの演目の差し替えといったロシア文化の『キャンセル』について、ある文化を特定の国家に帰属させることの問題点を取りあげています」

 ――斎須さん自身は、ドストエフスキー研究を通じて、以前から西欧とロシアの「差」を意識するようになっていたそうですね。

 「ロシアにおけるドストエフスキー研究は、キリスト教やロシア正教の側面からのアプローチが主流なのに対して、国外だと宗教以外からのアプローチが多いことを、留学を機に知りました。ドストエフスキー作品に対する認識は、日本だと現代にも通じる問題に焦点をあてた、どこか危険で、暗いイメージを持たれることが多いですが、ロシアでは絶望的な世界における希望といったポジティブな面にも意識が向けられる読み方が一般的でした」

 「ロシアでの読み方が、自分が慣れ親しんでいた読み方と全く違ったため、はじめは違和感がありました。ですが、研究を進めるにつれて、作品や、ドストエフスキーの抱いていた思想についてのロシアの研究者たちの解釈が、緻密(ちみつ)な読解に支えられたものだと分かりました。そうした原文の微妙な表現は、ロシア文化圏の外にいる読者に理解されないことがあります。つまり、ロシア文化に対する前提知識の欠如や、言語の壁などが原因で、ロシアの外の読者はドストエフスキーを一面的に理解してしまうことがあると感じます」

 「こうした認識の齟齬(そご)が、現在のロシアと西側諸国の言説の乖離(かいり)と無関係だとは思えません。ドストエフスキーの時代よりも前からあるルソフォビア(ロシア嫌い)には、ロシア以外からみたロシア文化の『理解しがたさ』によって生じている面もありそうだと感じます。例えば、特に西欧の読者からは、『ドストエフスキーは西欧にコンプレックスを持っていた』とされることがあります。実際には、彼が欧州に住んだ際、西欧文明の負の側面を感じ、ルソフォビア的なものにも遭遇して、それが作品に反映されているのですが、ロシアの外の読者には理解しがたいのでしょう。ロシアは西欧から多くを学んで発展してきました。同時に、西欧との関係には複雑なものがあり、これが旧ソ連崩壊後の西側との相互の誤解につながっているのだと感じます」

ロシアとどう向き合うか
 ――日本人のロシアへの印象は、どうなのでしょうか。

 「昨年2月より前は、『おそロシア』という言葉に代表される怖いイメージを持っていただけで、日本にルソフォビアと言えるほどのものはなかったのではないでしょうか。ところが、侵攻後にロシア政府どころか、一般のロシア国民にまで厳しい言論状況が作りだされた。ロシア軍による侵略行為に加えて、もともとあった悪いイメージが一部のヘイト的な言説に影響しているように感じます」

 ――我々はどうロシアと向き合えばよいのでしょうか。

 「ロシアに対するヘイトは、ロシア人のもつ被害者意識に根拠を与えてしまい、将来の和解や、ロシア国民が戦争責任を受け入れることを阻む、大きな要因になる可能性があると感じます」

 「文化を含む地域研究者は、研究対象から距離を置くことが大事だと言われます。一方で、現実の世界では、自分の価値基準で他者を判断し、それを押し付けるようなことが行われています。研究対象と距離を置くことに意義が生じるのは、対象のありさまをしっかりと追体験してからです。それなしでは、傲慢(ごうまん)な決めつけに陥ってしまう可能性もあることを、研究者だけでなく、みなが意識し続けなければならないのではないでしょうか」(聞き手・伊藤弘毅)

    ◇

さいす・なおひと 1986年、東京都生まれ。京都大学文学研究科博士課程単位取得退学。ゲルツェン名称ロシア国立教育大学文学部博士課程修了。文献学博士。日本学術振興会特別研究員などを経て、2022年から名古屋外国語大学講師。専門は19世紀ロシア文学、ロシア宗教思想史など。共訳書にイーゴリ・エブラームピエフ著『ロシア哲学史』(水声社)。

斎須直人さんのオススメ
●『ロシア文学からの旅―交錯する人と言葉』(ミネルヴァ書房)

 ロシア文学ガイドとしてお勧めです。それぞれの項目が各作家の作品からの引用で始まっているので、興味を引かれた作品の翻訳を読んでみるといいでしょう。

●『はじめて学ぶロシア文学史』(ミネルヴァ書房)

 手堅く優れたロシア文学史の概説書です。時代背景やメディアの変化に着目しながら、ロシア文学史を説明していて、とても充実しています。

●『新版 ロシア文学案内』(岩波文庫)

 文庫本です。よくまとまっています。

●『ロシア文化事典』(丸善出版)

 文化全般を扱った事典です。興味を持ったところから読んでいけば、知識を広げることができます。

●『ロシア(スラブ)文学・文化・語学関係推薦図書』(https://www.bun.kyoto-u.ac.jp/wp-content...別ウインドウで開きます (kyoto-u.ac.jp))

 京都大文学研究科のスラブ語学スラブ文学専修コースが毎年更新している参考図書情報です。学習の参考にしてみて下さい。

#ロシア #ロシア語

独裁国家の分裂

民主化への期待をしてる人がいるみたいですけど、独裁者か倒れるっていうと「重しが取れて、各地のトップが血で血を洗うようになる」ルートを通って新しい独裁者が生まれる、みたいな結末しか呼び寄せない気がするんですよね。

色々と無理。

#ロシア

murmur

クーデターの始まりかな?

プリゴジン、クーデターでもやることになったのかな?日本のテレビでは全然報じてなくてつい苦笑いしてしまった。日本語フェディバースはTwitterでの政治論争にトラウマを植え付けられた人が多いためかこういう「現実に起きていること」まで排除(ミュート)対象にしているユーザがたくさんいる。出来事やパワーバランスに興味があるだけなんだけど、どうした?って感じの拒否反応を見るとびっくりする。

どうやら国防省側は高速道路を通行止めにしたもののワグネル軍は一般道を突き進んでおり、プーチンの空爆しろって命令を「一般車両、民間人がいる」という理由で国防省が拒否っている模様。これ、国防省+ワグネル軍vsプーチンになりそう?一応クレムリンの周囲の警備は重くしているようだけれども、そこでドンパチしちゃうことにならない?道中よりモスクワ市内の方がずっと民間人多いですよね。

#ロシア

追記: 結局平定されてしまった様子。詳細はまだまとめるには早い感じ。確定事項がはっきりしていない。プリゴジンがベラルーシにいるという話もあるけれどどこまでが正確な結果なのかがよくわからない。0625 10:44

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